BATTLE ROYALE 外伝

プロローグ


         

 「――――くん、第○回の優勝した感想をどうぞ」
 首に赤いあざをつけ、両耳にグロムハーツのピアスをつけた少年がそこにはいた。少年の顔はなんだか死んでるような表情を
していた。  「――――くん?あの〜、感想をカメラに向かって言ってくれるかな?」  髪が短めの女リポーターが、グロムハーツの少年にマイクを向けていた。そして、数秒の時間がたち、
グロムハーツの少年が口を開いた。「・・・・・優勝・・・・・優勝なのか・・・ ああ・・・・なんだか変な気分です。僕は人を殺した・・・・ふっ」と言って、カメラに向かって奇妙な笑みをした。
 そして女リポーターがさらにグロムハーツの少年に、質問した。「――――くん?これから優勝特典として
総統陛下直筆の色紙と、生涯の生活保障が与えられましたが、家に帰ったらどうしますか?」と言う質問に対して、
グロムハーツの少年は手に持っていた総統陛下直筆の色紙を、カメラの前で、半分に思いっきり破いた。  「あっ!」と、船に乗ってる誰もが驚いた。横にいた専守防衛陸軍兵士達も、目を大きく開いていた。
 グロムハーツの少年の顔は、さっきとは別人のように、カメラに向かってメンチをきっていた。
そしてボソッと少年は喋りだした。「・・・・俺は、人殺しだ。俺は、友達を殺した。
やらなきゃやられる・・・だから殺した。だから今、死んだみんなの分まで生きる・・・色紙も生涯の生活保障もいらない。
俺はこのゲームで大切な事を学んだし、もらった」  船に乗ってる誰もが静まり返った。多分、グロムハーツの少年のコメントより、
総統陛下直筆の色紙を破いた事にだろう。  そんな中継が、街の大きなビジョンに映っていたグロムハーツの少年を、一人のちゃらちゃらした少年達がガムを噛み
、ニヤニヤしながら言った。「けっ。やってくれるぜ。色紙を破るとはすげえな。
きっとあいつ、射殺されるか、またゲームに強制的に参加させられるぞ」  ゆらゆら揺れる船の上で、女リポーターがカメラに向かって
「以上、第○回優勝者のインタビューでした。」と言っていた。そしてまた、グロムハーツの少年は、死んだような顔をしていた。
今はただ揺れる船の上で、血がべっとりついた制服と、土がたくさんついたマシンガンだけが、これまでの悪夢を物語っていた・・・。  少年の両耳についているグロムハーツのピアスが、たくさんの死んだ生徒の叫びの様に、
キラキラと銀色にひかり輝いていた・・・。

次へ

トップへ